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掛け軸を損せず買取に出すためのポイント

  • 骨董品買取
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2021年9月13日
掛け軸を損せず買取に出すためのポイント
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ライター

わたなべ

日本の床の間に飾り鑑賞する掛け軸は、カビや日焼けによるダメージを受けやすいデリケートな品です。ご自宅の倉庫や押し入れ、建て替え等で出てきた掛け軸をどうしたらいいか分からず悩んでいるという方は、少しでも早いタイミングで買取に出すことをお勧めいたします。本記事では、掛け軸にまつわる知識の他、掛け軸買取について詳しく解説していますので是非ご参考ください。

掛け軸の基礎知識

そもそも、掛け軸とは中国北宋時代を起源とする、書や東洋画を裂や紙で表装したものを指します。日本では、床の間にかけて鑑賞することから床掛けとも呼ばれ、飛鳥時代に伝来して以降千利休が茶の湯の席で重要視したことや家の中を明るく華やかにさせることから人気が高まり、現在に至ります。さらに、掛け軸の幅は広く、種類も様々あるのでそれぞれ紹介いたします。

表装

軸装、表具とも呼ばれる紙を掛け軸の形に仕立てることを表装と言い、その方法は中国から伝わった文人仕立てと日本で考案された大和仕立てに分かれます。

表装の方法

文人仕立て
中国から伝わった方法
大和仕立て
日本で考案された方法
見切り表具見切り表具の図 真表具真表具の図
袋仕立て袋仕立ての図 行表具行表具の図
明朝仕立て明朝仕立ての図 草表具草表具の図

掛け軸の種類

掛け軸と呼ばれるものに描かれているのは画と書に大きく分類されます。さらにそこから細かな分類を行うと以下のようになります。

掛け軸の種類 細かな分類 概要
中国掛け軸 中国の作家によって描かれ、表装されたもの
仏画 仏教説話画や僧の肖像画、作家名が無記名
水墨画
  • 墨一色で描く
  • のちに山水画も人気に
山水画
  • 創造された景色がモチーフ
  • 中国で発展
花鳥画 花や鳥を主としてさまざまな動物が描かれたもの
日本画
  • 美人画や肉筆浮世絵
  • 室内が明るくなるような作品
肉筆浮世絵 浮世絵師が自らの筆で直接描いたもの
美人画
  • 女性の美をモチーフに描いたもの
  • 江戸時代に1度大流行
  • 安定した人気
墨蹟 高僧による直筆で書いたもののこと
古筆
  • 平安~鎌倉の和様の名筆を指す
  • 特にかな書
消息 手紙のこと
断簡 巻物を切り取った一部
短冊 和歌等が書かれたもの
画と書 画賛 絵画の主として上部の空白部分に書き込んだ詩文
対幅
  • 画のもの、書のものとさまざまで連作になって
    いるもの
  • 一対のものは右幅と左幅、三幅対、四幅対それ
    以上のものもある
掛け軸の種類の図

より高く掛け軸を売るために

 掛け軸の買取市場は、流行に左右されやすく比較的変動が激しい傾向にあったり、モチーフや描かれた年代、保存状態によってそれぞれの価値が異なったり、精緻な贋作も多いので、買取業者や査定士さえも買取価格を決めかねる作品もあるほどです。そのため、買取相場や参考価格がはっきりと示すことが難しくなっています。しかし、買取の際に業者側が必ずチェックする査定ポイントがありますので、そこから高値での買取が考えられるものを紹介いたします。

作家のサインや落款

掛け軸の価値を決める大きな要素であるのが作家が誰であるか、です。有名な掛け軸の作家に関しては、「代表的な有名作家」で紹介しておりますので、そちらも併せて拝読ください。しかし有名作家になればなるほど、その作品を精密に真似た贋作や印刷物も多く出回っているのも事実です。中には大変精緻で精巧なものもあり、豊富な知識をもつ専門家でないと判断が難しいものもありますのでご注意ください。

付属品

掛け軸が収納されていた箱の有無は非常に重要です。掛け軸と同じく作家のサインや落款があれば共箱といい、本物である可能性が高くなりますし、外箱が漆箱で内箱が桐箱になっている二重箱の場合には元々高価で取引されていた掛け軸であることが多いため、査定の際に高評価を得て買取価格が上がりやすいです。

描かれた年代

掛け軸は描かれた時代が1300年前半といったように、古いほど希少性が高く、より高く売れることが多いです。さらに、有名作家においても作家活動初期であったり、作家として成熟した頃であったりある特定のころの作品が特に高値で売れる可能性が上がることがあります。

描かれているモチーフ

日本国内では、掛け軸の需要は長く室内が明るく華やぐものが高い傾向にあります。さらに、正月等のおめでたいときには松竹梅、盆等の仏事用には六字名号や蓮華がモチーフとされている作品を、といったように特定の時期や用途で使うものは掛け軸の中でも流行に左右されにくいため、人気で高価買取が見込める掛け軸といえます。

保存状態

掛け軸の保存状態で注視されるのが以下の5点です。

  • シワ
  • カビ
  • しみ
  • 日焼け
  • 絵の具や表具のハゲ

既に見つかってしまったものに関しては仕方がないですし、この5点があっても希少価値の高い作品であれば高く売れる可能性もありますので、まずは買取業者に見せることをお勧めいたします。さらに、買取に出すまで保存状態を悪化させないために正しく保管する必要がありますので、ご紹介いたします。

保管のポイント

  • 日光や冷暖房の風を直接当てない
  • よく乾いた日に陰干し(1年なら春と秋の2回)
  • 長くかけっぱなしにせず定期的に掛け変える
  • 収納するときは掛け軸には触れずにホコリは吹き払う
  • 桐箱に収める
  • 和紙かウコン染めの布で包んでから収納する
  • 化学成分が含まれる防虫剤等と一緒に箱に入れない
  • 箱は押し入れの上段等の通気性が良く湿度の低いところで保管

有名作家

掛け軸に関係する有名な作家は多く、すべてを紹介することは難しいので今回は何人かに絞ってまとめました。紹介しきれなかった作家にも有名で、買取の際高い査定金額が付く可能性のある作品もありますので、ぜひ査定してみてください。

代表的な有名作家

作家名 国籍 活動を行った時代 主に手掛けた画風 別号
蓮如
はすにょ
日本 室町時代 蓮如上人
田能村竹田
たのむらちくでん
日本 江戸時代後期 日本画 等 九畳仙史
竹田荘 等
松林桂月
まつばやしけいげつ
日本 明治~昭和 日本画 香外
玉江漁人
小杉放庵
こすぎほうあん
日本 風景
人物画 等
未醒
放菴
北大路魯山人
きたおおじろさんじん
日本
画賛
日本画 等
横山大観
よこやまたいかん
日本 日本画
上村松園
うえむらしょうえん
日本 日本画
特に美人画
山口華楊
やまぐちかよう
日本 昭和 写生中心の花鳥画 等
佐藤眉山
さとうびざん
日本 昭和~現代 花鳥画中心の日本画 等
美濃正堂
みのしょうどう
日本 花鳥
山水画
沈周
しんしゅう
中国 明代中期 山水画 等 石田
石田翁
白石翁 等
呂紀
りょき
中国 明代 花鳥中心の中国画
八大山人
はちだいさんじん
中国 明代~清代 水墨で描く花鳥画 朱耷
雪个 等
沈南蘋
しんなんびん
中国 清代 写生中心の花鳥画
于右任
うゆうじん
中国 清代~中華民国代 神州旧主
騒心
大風 等
呉昌碩
ごしょうせき
中国
山水画
花鳥画
苦鉄
破荷
老蒼 等
菫寿平
とうじゅへい
中国 1900年代 写生的な山水画
白雪石
はくせつせき
中国 1900年代~2000年代 山水画
中国画

骨董品の買取のコツや買取業者の選び方などは、下記コラムでもくわしくご紹介しておりますので、こちらもぜひあわせてご覧ください。

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