買取に出す前に!知っておくべき着物買取の世界
日本の伝統的な装いである着物は、母や祖母から代々受け継いだものや新たに自分専用に仕立てた1着を長く使う方がいる一方で、サイズや好みの移り変わり等の理由から“買取にだしてまた新しく購入する”という仕組みを利用する方もいます。
この仕組みには、買取に出した際の金額を次に購入予定の着物の支払金の一部にできるうえ、定期的に新しいものに変えていくことで飽きないというメリットがあります。本記事では、そんな着物の買取についてまとめましたので、着物を買取に出そうとお考えの際にはぜひ参考にしてみてください。
目次 閉じる
より高い値段で売るために
折角着物を手放す以上できる限り高い値段で売りたいものですが、保存方法ひとつで大きく価格が変動してしまうことがあります。チェックすべき項目をまとめましたので、買取査定前に一度ぜひご確認ください。
- 証紙付きの有名産地の着物
- 仕立て上がり寸法が大きい
- 和装小物とまとめて買取に出す
- 未使用で仕付け糸のついたままのもの
- 保存状態が良い
証紙付きの有名産地の着物
着物の中には、国や自治体から指定された伝統工芸品や重要無形文化財とされた種類も多く存在しています。そういった場合には必ず品質や産地を証明する証紙が付いており、これは保証書のようなものですのでその着物を手放す時まできちんと保管することを推奨いたします。中には、証紙が無い場合でも問題のないこともありますが、その際には確認のためにもまずは買取業者へのご相談をおすすめします。
この、証紙付きの着物については以下「着物の分類」でまとめています。
仕立て上がり寸法が大きい
年々、日本人女性の体格は大きくなっているため、着物の身丈が短いものは市場が限られることが多いです。一般的に着物の身丈は、着る人の身長±5㎝は必要だとされているので、現在の平均身長から考える165センチ以上の身丈があるものが需要が高く、高値で取引されます。反物の場合には、幅1尺(37㎝)、長さ3丈2尺(12m)以下だと現代の規格には不適合で買取価格も下がってしまいます。
ただし、反物は高価買取につながる場合もありますので、下記コラムもぜひご参照ください。
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和装小物とまとめて買取に出す
洋服に比べ、身に着ける頻度が低くなっている現代では、様々な着物や帯、小物を購入して組み合わせを楽しむ、というよりは、固定の組み合わせのものを一着は持っておく、というスタイルが主流になってきているため、買取に出す際には購入時に付属していた帯や小物等があればまとめることをおすすめします。特に浴衣や振袖は必要となる場合や年に数回、もしくは一生に一度の場合もあり、一式まとまった状態のほうがより需要が高く買取もスムーズなことが多いです。
帯や和装小物の買取事情や相場については、以下の記事でもくわしく解説しております。
未使用で仕付け糸のついたままのもの
下記で説明させていただく保存状態と近いですが、汚れがなく、使用感が全くない未使用の着物は高額での買取が可能な場合があります。この場合、未使用品という証拠になる仕付け糸が付いているものの方が好ましいです。
保存状態が良い
着物以外のものと同じく、保存状態が良いものほうがもちろん高値で買い取ることが可能となります。詳しくは次の「着物の保存方法」をご一読ください。
着物の保存方法
着物をより高く売るためのポイントとしても挙げた保存状態ですが、どんなことに気を付けるべきなのでしょうか。着物を綺麗なまま保つポイントを注意すべき点への対策ごとにまとめました。
- 湿気
- 虫
- たんぱく質の残留
- ガス
- 紫外線
それでは、これらのポイントへの対策方法をそれぞれ紹介いたします。
注意すべき点 | 正しい保管方法 |
---|---|
湿気 |
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虫 |
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たんぱく質の残留 |
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ガス |
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紫外線 |
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着物の分類別買取相場
着物の買取相場はその着物が作られた年代や需要と供給等で大きく変動しますので、予想できる範囲内での相場と着物の価値を決める要素を合わせて紹介いたします。
まず、着物の価値を決める要素として、保存状態以外に挙げられるのは以下の5点です。
- 需要があるか否か
- 生地が正絹や使われている糸が多いか否か
- 染色が手染か否か
- 伝統工芸品か否か
- 作者が人間国宝であるか否か
- ブランドのタグや落款が付いているか否か
これらの要素をもとは、きちんとした査定士のもと鑑定を行わずに買取に出した場合に見落とされ、価値のある着物が安価で買い取られてしまうことを避けるため、ご自身でも一度見ておくようお勧めします。以下の表では、種類も豊富な着物の分類を生地や染色技術といった側面からまとめ、特に高価買取が望めるものに「高価買取」が付いています。買取に出そうとお考えの着物がなんという種類のものか見比べたり、大体の相場を知るためにご利用ください。
着物の種類 | イメージ写真 | 買取相場 | 概要 |
---|---|---|---|
振袖 | 高価買取 2,000~500,000円 |
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留袖 | 2,000~200,000円 |
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訪問着・ 付下げ |
高価買取 2,000~500,000円 |
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紬 | 高価買取 1,000~500,000円 |
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色無地 | 1,000~50,000円 |
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上布 | 2,000~20,000円 |
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縮緬 | 1,000~200,000円 |
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木綿 | 100~10,000円 |
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浴衣 | 高価買取 100~20,000円 |
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振袖・浴衣の売却をお考えの方は、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。
伝統工芸品別買取相場
工芸品名 | 買取相場 | 産地 | 概要 | 証紙の例 |
---|---|---|---|---|
本場大島紬 | 高価買取 ~300,000円 |
鹿児島県 奄美大島 |
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本場結城紬 | 高価買取 ~100,000円 |
茨城県・栃木県 |
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牛首紬 | ~50,000円 | 石川県 白山市 |
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琉球紅型 | ~100,000円 | 沖縄県 |
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久米島紬 | ~80,000円 | 久米島 |
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黄八丈紬 | ~50,000円 | 東京都 伊東諸島 八丈島 |
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塩沢紬 | ~50,000円 | 新潟県 魚沼市 |
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越後上布 | 高価買取 ~100,000円 |
新潟県 魚沼市 |
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宮古上布 | ~80,000円 | 沖縄県 宮古島 |
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近江上布 | 高価買取 ~100,000円 |
滋賀県 湖東地 |
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丹後ちりめん | 高価買取 ~200,000円 |
京都府 丹後地方 |
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京友禅 | 高価買取 ~100,000円 |
京都府 |
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本加賀友禅 | ~50,000円 | 石川県 |
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東京友禅 (江戸友禅) |
高価買取 ~150,000円 |
東京都 |
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名古屋友禅 | 高価買取 ~100,000円 |
愛知県 名古屋市と その周辺地域 |
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江戸小紋 | ~50,000円 | 東京都 |
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京小紋 | ~20,000円 | 京都府 |
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京鹿の子絞り | 高価買取 ~500,000円 |
京都府 |
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有松・ 鳴海絞り |
~500,000円 | 愛知県 名古屋市と その周辺地域 |
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人間国宝作家の着物
ほかにも、着物の作家が人間国宝であった場合にも高価買取の可能性があります。しかし、こちらは着物の種類や生地、染色技法がそれぞれ異なり、買取相場を定めるのは難しいため、作家名のみの紹介となります。もしも作家の落款等が見受けられる際には一度、ご相談ください。
人間国宝作家一覧
- 宗廣力三
- 玉那覇有公
- 田畑喜八
- 木村雨山
- 中村勝馬
- 上野為二
- 森口華孔
- 山田貢
- 羽田昇喜男
- 田島比呂子
- 森口邦彦
- 二塚長生
- 小宮康助
- 小宮康孝
- 千葉あやの
- 芹沢銈介
- 鈴田滋人
- 鎌倉芳太郎
- 志村ふくみ
主な着物取り扱いブランド・デザイナー・コラボ
作家が人間国宝だったり、伝統工芸品の証紙が無い着物だったりした場合でも、タグや落款等を見ていただくとブランドやデザイナー、もしくはコラボした芸能人の名前が印字してあることもあります。その中で人気が高く、需要のあるものを一覧で紹介いたしますのでご参考ください。
主な着物取り扱いブランド・デザイナー・コラボ | 概要 |
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千總 |
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ゑり善 |
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志ま亀 |
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銀座越後屋 |
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川島織物 |
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竺仙 |
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龍村美術織物 |
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三勝 |
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大羊居 |
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都喜ヱ門 |
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豆千代 (豆千代モダン) |
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斎藤上太郎 |
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ツモリチサト |
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山本寛斎 (カンサイヤマモト) |
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中野裕通 (ヒロミチカナノ) |
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コシノジュンコ |
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松田聖子 (セイコマツダ) |
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IKKO (IKKO RED LABEL) |
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