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買取に出す前に!知っておくべき着物買取の世界

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2023年6月22日
買取に出す前に!知っておくべき着物買取の世界
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ライター

わたなべ

日本の伝統的な装いである着物は、母や祖母から代々受け継いだものや新たに自分専用に仕立てた1着を長く使う方がいる一方で、サイズや好みの移り変わり等の理由から“買取にだしてまた新しく購入する”という仕組みを利用する方もいます。

この仕組みには、買取に出した際の金額を次に購入予定の着物の支払金の一部にできるうえ、定期的に新しいものに変えていくことで飽きないというメリットがあります。本記事では、そんな着物の買取についてまとめましたので、着物を買取に出そうとお考えの際にはぜひ参考にしてみてください。

より高い値段で売るために

折角着物を手放す以上できる限り高い値段で売りたいものですが、保存方法ひとつで大きく価格が変動してしまうことがあります。チェックすべき項目をまとめましたので、買取査定前に一度ぜひご確認ください。

  • 証紙付きの有名産地の着物
  • 仕立て上がり寸法が大きい
  • 和装小物とまとめて買取に出す
  • 未使用で仕付け糸のついたままのもの
  • 保存状態が良い

証紙付きの有名産地の着物

着物の中には、国や自治体から指定された伝統工芸品や重要無形文化財とされた種類も多く存在しています。そういった場合には必ず品質や産地を証明する証紙が付いており、これは保証書のようなものですのでその着物を手放す時まできちんと保管することを推奨いたします。中には、証紙が無い場合でも問題のないこともありますが、その際には確認のためにもまずは買取業者へのご相談をおすすめします。

この、証紙付きの着物については以下「着物の分類」でまとめています。

有名産地の着物の証紙

仕立て上がり寸法が大きい

年々、日本人女性の体格は大きくなっているため、着物の身丈が短いものは市場が限られることが多いです。一般的に着物の身丈は、着る人の身長±5㎝は必要だとされているので、現在の平均身長から考える165センチ以上の身丈があるものが需要が高く、高値で取引されます。反物の場合には、幅1尺(37㎝)、長さ3丈2尺(12m)以下だと現代の規格には不適合で買取価格も下がってしまいます。

165センチ以上の身丈

ただし、反物は高価買取につながる場合もありますので、下記コラムもぜひご参照ください。

和装小物とまとめて買取に出す

洋服に比べ、身に着ける頻度が低くなっている現代では、様々な着物や帯、小物を購入して組み合わせを楽しむ、というよりは、固定の組み合わせのものを一着は持っておく、というスタイルが主流になってきているため、買取に出す際には購入時に付属していた帯や小物等があればまとめることをおすすめします。特に浴衣や振袖は必要となる場合や年に数回、もしくは一生に一度の場合もあり、一式まとまった状態のほうがより需要が高く買取もスムーズなことが多いです。

着物の帯や小物等

帯や和装小物の買取事情や相場については、以下の記事でもくわしく解説しております。

未使用で仕付け糸のついたままのもの

下記で説明させていただく保存状態と近いですが、汚れがなく、使用感が全くない未使用の着物は高額での買取が可能な場合があります。この場合、未使用品という証拠になる仕付け糸が付いているものの方が好ましいです。

着物の仕付け糸

保存状態が良い

着物以外のものと同じく、保存状態が良いものほうがもちろん高値で買い取ることが可能となります。詳しくは次の「着物の保存方法」をご一読ください。

保存状態が良い着物のイメージ写真

着物の保存方法

着物をより高く売るためのポイントとしても挙げた保存状態ですが、どんなことに気を付けるべきなのでしょうか。着物を綺麗なまま保つポイントを注意すべき点への対策ごとにまとめました。

  • 湿気
  • たんぱく質の残留
  • ガス
  • 紫外線

 それでは、これらのポイントへの対策方法をそれぞれ紹介いたします。

注意すべき点 正しい保管方法
湿気
  • 頻繁に着る
  • 晴れが三日ほど続いた乾燥した日に虫干し(陰干し)
  • 湿気のたまらない部屋で保管
  • 着物を保管している押し入れ等の中に扇風機を10分ほど当てる
  • ウール素材のものと一緒に保管しない ※正絹なら心配いらない
  • たんぱく質の残留
  • 着用後は陰干しで汗をとばす
  • しわが残れば汗抜き
  • 汚れたらクリーニングに出す
  • 乾いたタオル等で裾の埃等毛羽立たないようにそっと落とす
  • ガス
  • 防虫剤は複数の種類と保管しない
  • たとう紙のセロファンのそばに防虫剤を置かない
  • プラスチック製・ゴム製のものと保管しない
  • 紫外線
  • 干すときは陰干し
  • 日陰でも長く干しっぱなしにしない
  • 直射日光と長時間の蛍光灯は避ける
  • 着物 買取強化中

    着物の分類別買取相場

     着物の買取相場はその着物が作られた年代や需要と供給等で大きく変動しますので、予想できる範囲内での相場と着物の価値を決める要素を合わせて紹介いたします。

    まず、着物の価値を決める要素として、保存状態以外に挙げられるのは以下の5点です。

    これらの要素をもとは、きちんとした査定士のもと鑑定を行わずに買取に出した場合に見落とされ、価値のある着物が安価で買い取られてしまうことを避けるため、ご自身でも一度見ておくようお勧めします。以下の表では、種類も豊富な着物の分類を生地や染色技術といった側面からまとめ、特に高価買取が望めるものに「高価買取」が付いています。買取に出そうとお考えの着物がなんという種類のものか見比べたり、大体の相場を知るためにご利用ください。

    着物の種類 イメージ写真 買取相場 概要
    振袖
    振袖の写真
    高価買取
    2,000~500,000円
    • 江戸時代初期に誕生した未婚女性の第一礼装
    • 袖丈が長ければ長いほど、格調が高い
    留袖
    留袖の写真
    2,000~200,000円
    • 柄付けが袖だけに絵羽模様で入っている
    • 黒留袖は既婚女性の第一礼装
    • 色留袖は門の数が置ければ多いほど格式が上がる
    訪問着・
    付下げ
    訪問着の写真
    高価買取
    2,000~500,000円
    • 既婚、未婚関係なく着用可能
    • 絵羽模様の社交着
    • 留袖の次にフォーマルな着物
    • 付け下げは訪問着を簡略化したもの
    紬の写真
    高価買取
    1,000~500,000円
    • 糸の状態から染め、織りで柄を表現するおしゃれ着
    • 蚕の繭から引き出した絹糸を布表面の生地に使用
    • 最高級品と分類されることが多い
    色無地
    色無地の写真
    1,000~50,000円
    • 黒以外の単色で染められた模様のない着物
    • 幅広い場面で着用できる
    上布
    上布の写真
    2,000~20,000円
    • 大麻や苧麻の細い麻糸で織られた夏物の着物
    • 麻織物としては最上級品で希少価値も高い
    • 紬のように普段着として着られる
    縮緬
    縮緬の写真
    1,000~200,000円
    • 経糸に撚りのない糸や緯糸に撚りの強い糸を使った
    • 平織りで織られたもの
    • 生地全体にしぼという細かな凸凹ができる
    • 厚みがあり秋から春先にかけて着られる
    木綿
    木綿の写真
    100~10,000円
    • 絹の着物よりも扱いが簡単
    • 購入時の価格も手ごろなことが多い
    • 生地が重く厚い
    浴衣
    浴衣の写真
    高価買取
    100~20,000円
    • もともとは家庭でのくつろぎ着
    • 綿麻や綿絽、絹紅梅など様々な生地がある
    • 現代で最も馴染み深い着物であるが、その分安価
    • 販売・買取されているものも多い

    振袖・浴衣の売却をお考えの方は、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。

    着物 買取強化中

    伝統工芸品別買取相場

    工芸品名 買取相場 産地 概要 証紙の例
    本場大島紬 高価買取
    ~300,000円
    鹿児島県
    奄美大島
    • 日本三大紬のひとつ
    • 染色の工程で鉄分が染み込むので着崩れ・虫食いが起きにくく丈夫
    • 軽くてしなやかでドレープ性がある
    • 柄の小さい小紋タイプが人気
    • 高級着物と呼ばれることが多い
    本場大島紬の証紙
    本場結城紬 高価買取
    ~100,000円
    茨城県・栃木県
    • 日本三大紬のひとつ
    • なかなか市場に流通しない
    • 独自の手紬糸を使用している
    • ふわっとした肌触り
    • 温かみのある使い心地
    • 柔らかくて馴染みやすく着崩れしにくい
    本場結城紬の証紙
    牛首紬 ~50,000円 石川県
    白山市
    • 日本三大紬のひとつ
    • 約10年前まではすべて手織りだった
    • 座繰りによる玉糸を使用
    • 証紙の代わりに落款が押されていることもある
    牛首紬の証紙
    琉球紅型 ~100,000円 沖縄県
    • 色遣いが鮮やかなものが多い
    • 模様の輪郭に濃い色を一つ一つ手作業で指す
    琉球紅型の証紙
    久米島紬 ~80,000円 久米島
    • 日本の紬の発祥と言われている
    • 染料は100%自然由来
    • 製造は手作業
    • 模様や染付は最後まで一人の職人が行う
    久米島紬の証紙
    黄八丈紬 ~50,000円 東京都
    伊東諸島
    八丈島
    • 染料は島内に自生している植物
    • 黄色・樺色・黒の3色が基調
    • 長く色褪せない染色技術
    黄八丈紬の証紙
    塩沢紬 ~50,000円 新潟県
    魚沼市
    • 光沢の少ない玉糸と真綿手紡糸を使用
    • 落ち着いた色合い
    • 「越後上布」の技術を取り入れている
    塩沢紬の証紙
    越後上布 高価買取
    ~100,000円
    新潟県
    魚沼市
    • 最高級麻織物のひとつ
    • 主な柄は絣や縞
    • 縄文時代から続いているという説有り
    • 鎌倉時代の歴史書に朝廷に献上されたという記載がある
    • ユネスコ無形文化遺産
    越後上布の証紙
    宮古上布 ~80,000円 沖縄県
    宮古島
    • 最高級麻織物のひとつ
    • 光沢感があり薄く精緻な絣が特徴
    • 反物をひとつ仕立てるのに2か月以上かかる
    宮古上布の証紙
    近江上布 高価買取
    ~100,000円
    滋賀県
    湖東地
    • 古くは高宮細見や高宮布と呼ばれていた
    • 織る前の糸の状態に絣模様をつける先染め
    近江上布の証紙
    丹後ちりめん 高価買取
    ~200,000円
    京都府
    丹後地方
    • 日本国内最大のシェア
    • 近年は染色加工や友禅染め等も行われる
    丹後ちりめんの証紙
    京友禅 高価買取
    ~100,000円
    京都府
    • 日本三大友禅のひとつ
    • 宮崎友禅斎が大成させた染色技法で国内各地に広まる
    • 多色で豪華絢爛
    • 絵画的
    • 鴨川に布をさらし色彩を出していた
    • 工程が多く分業制
    京友禅の証紙
    本加賀友禅 ~50,000円 石川県
    • 日本三大友禅のひとつ
    • 図柄が真正面
    • 精巧で写生的
    • 加賀五彩(臙脂・藍・黄土・草・古代紫)が基調
    • 手描きのものは特に価値が高い
    本加賀友禅の証紙
    東京友禅
    (江戸友禅)
    高価買取
    ~150,000円
    東京都
    • 日本三大友禅のひとつ
    • 渋く落ち着いた色合い
    • 千鳥、磯の松、江戸の風景の柄が多い
    • 一人の職人が構図から仕上げまで一貫して行う
    東京友禅(江戸友禅)の証紙
    名古屋友禅 高価買取
    ~100,000円
    愛知県
    名古屋市と
    その周辺地域
    • 質素で落ち着いた色柄
    • 単色の濃淡を使って描く
    名古屋友禅の証紙
    江戸小紋 ~50,000円 東京都
    • 江戸時代の大名の正装が発祥のため、模様が小さく、遠目では無地に見えるものもある
    • 鮫・行儀・角通しといった柄がある
    • 本来の素材は絹のみ、色は単色
    • ネームバリューがあり、現代でも人気
    江戸小紋の証紙
    京小紋 ~20,000円 京都府
    • 型染めと京友禅の技術を合わせたもの
    • 明治以降に流行
    • 小紋の中では比較的模様が大きい
    • 色彩も鮮やかなものが多い
    京小紋の証紙
    京鹿の子絞り 高価買取
    ~500,000円
    京都府
    • 四角の中に染残りの点が出る
    • 絞りとして最高級品
    • 総絞りが特に高価
    京鹿の子絞りの証紙
    有松・
    鳴海絞り
    ~500,000円 愛知県
    名古屋市と
    その周辺地域
    • 木綿布を藍で染めたものが代表的
    • 絞りとして最高級品
    • 総絞りが特に高価
    有松・鳴海絞りの証紙
    着物 買取強化中

    人間国宝作家の着物

    ほかにも、着物の作家が人間国宝であった場合にも高価買取の可能性があります。しかし、こちらは着物の種類や生地、染色技法がそれぞれ異なり、買取相場を定めるのは難しいため、作家名のみの紹介となります。もしも作家の落款等が見受けられる際には一度、ご相談ください。

    人間国宝作家一覧

    • 宗廣力三
    • 玉那覇有公
    • 田畑喜八
    • 木村雨山
    • 中村勝馬
    • 上野為二
    • 森口華孔
    • 山田貢
    • 羽田昇喜男
    • 田島比呂子
    • 森口邦彦
    • 二塚長生
    • 小宮康助
    • 小宮康孝
    • 千葉あやの
    • 芹沢銈介
    • 鈴田滋人
    • 鎌倉芳太郎
    • 志村ふくみ

    主な着物取り扱いブランド・デザイナー・コラボ

    作家が人間国宝だったり、伝統工芸品の証紙が無い着物だったりした場合でも、タグや落款等を見ていただくとブランドやデザイナー、もしくはコラボした芸能人の名前が印字してあることもあります。その中で人気が高く、需要のあるものを一覧で紹介いたしますのでご参考ください。

    主な着物取り扱いブランド・デザイナー・コラボ 概要
    千總
    • 創業450年以上
    • 京友禅の老舗
    • 人気の着物ブランドのひとつ
    ゑり善
    • 創業400年以上
    • 京都の呉服屋
    • 贅を尽くした半衿が戦前は全国的な人気
    • 現在は伝統的な技術・技法を生かした着物を取り扱う信頼できる呉服屋の地位を築いている
    志ま亀
    • 創業200年以上
    • 京都で開業した呉服屋
    • 工房も持ち
    • 志ま亀好みと呼ばれるデザインと色調
    • 仕立てまで行っている
    • 訪問着、留袖、小紋が人気
    銀座越後屋
    • 東京で開業
    • 創業200年以上、木綿から絹物まで取り扱う
    • 古典柄を中心に色彩にこだわり、現代にマッチする着物を作っている
    川島織物
    • 創業150年以上
    • 西陣織の老舗で今ではインテリアメーカ「セルコン」と合併し、呉服・美術工芸織物とインテリア・室内装飾の会社になったが、帯や和装小物は変わらず作られていて人気
    竺仙
    • 創業150年以上
    • 東京の江戸小紋・浴衣を中心に取り扱う呉服屋
    • 竺仙の反物は江戸時代から伝わる型紙と職人の勘のみで作られており竺仙染めとも呼ばれる
    龍村美術織物
    • 創業100年以上
    • 京都で開業
    • クリスチャン・ディオールや皇室にも献上された経歴がある
    三勝
    • 創業100年以上
    • 東京の木綿誂え染物の老舗
    • 明治から受け継がれる図案と型紙をもとに伝承する染色技術で染める生地が現在も人気
    • 専属職人である清水吉五郎とその息子で人間国宝の清水幸太郎の作品は特に高価
    大羊居
    • 創業80年以上
    • 東京の呉服屋、江戸刺繍の保持にも尽力
    都喜ヱ門
    • 創業約70年
    • 男性用の着物も人気
    豆千代
    (豆千代モダン)
    • 戦後最大の着物リバイバルの牽引者の一人とされる
    • ポップなテイストは若者からも支持を得ている
    斎藤上太郎
    • 染色作家の祖父と着物作家の父を持つ
    • デニム着物が人気
    ツモリチサト
    • ファッションデザイナーツモリチサトの着物ライン
    • ブランド事業の終了を発表した今も人気
    • 今後自身の事務所にて新たにブランドの立ち上げも検討している
    山本寛斎
    (カンサイヤマモト)
    • 日本人として初めてロンドンでファッションショーを開催したファッションデザイナー
    • 幅広い分野で活躍した
    中野裕通
    (ヒロミチカナノ)
    • ファッションデザイナーヒロミチナカノの着物ライン
    • 洋装の要素も取り入れた和装小物も扱う
    コシノジュンコ
    • 装苑賞を最年少で受賞して以降活躍する日本のファッションデザイナー
    • 着物は黒を印象的に使ったモダンな柄が多い
    松田聖子
    (セイコマツダ)
    • 芸能人のプロデュース着物として人気なもののひとつ
    IKKO
    (IKKO RED LABEL)
    • TV出演時、常に和装なこともあり、人気着物のひとつとなっている

    テレビCM放送中