【2021年版】毛皮の買取事情と知っておくべき知識
衣服の素材として活用されている毛皮はリアルファーとも呼ばれ、様々なアパレルブランドが取り扱っていました。しかし、近年では販売されているものも実際に着ている人も減っている傾向にあり、その影響から手持ちの毛皮の服を暫く着ていない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は毛皮市場を取り巻く現状を様々な観点から紹介いたします。手持ちの毛皮の扱いにお困りの方はぜひ、ご参考ください。
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毛皮の歴史
毛皮は、人類が身に着ける衣類に活用される最古の素材と言われており、その起源は紀元前にまで遡ります。その頃、狩猟によって得た動物の毛皮は、権力を示すものとしてお金持ちや王族に大変重宝されていました。さらに、世界で売買された商品として最古とされているのも毛皮で、13世紀から18世紀ころまで欧州では特に盛んに行われていました。
20世紀半ば頃までには、毛皮動物の養殖も行われ始め、世界中に毛皮の養殖・卸しをする生産団体も設立されていきました。毛皮はゴージャスなイメージをもたらす素材としてフォーマルな場面や授賞式、パーティ等の場に着用する衣服に活用され、日本国内ではバブル期に一世を風靡して以降、一般社団法人日本毛皮協会がファーファッションの向上と普及を目的として、2004年、最もファーが似合う人を賞するファーオブザイヤー(FUR OF THE YEAR)を創立しました。
しかし、2010年を超えたあたりから動物愛護の観点から、反毛皮を訴える団体や人々が増えつつあり、これが理由で販売や着用されている毛皮を実際に目にする頻度が減っていったと考えられます。先述したファーオブザイヤー(FUR OF THE YEAR)も2013年の第9回以降選出を取りやめています。
この反毛皮の活動は世界的に広がっており、リアルファーを素材としたアパレル商品の販売を禁止するファーフリーを宣言するブランドも数多く登場しています。
西暦 | 主な出来事 |
---|---|
紀元前 | 毛皮を衣類の素材として活用し始める |
13世紀~18世紀頃 | 欧州を中心に毛皮の取引が盛んになる |
20世紀半ば | 狩猟から養殖に移り、世界中で生産団体が設立 動物愛護団体を中心に反毛皮の声が高まる |
20世紀終わりごろ | ファーフリーを宣言するブランド増え始める |
ファーフリーを宣言した代表的なブランド
- ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)
- ヴェルサーチェ(VERSACE)
- エイチ アンド エム(H&M)
- カルバン クライン(Calvin Klein)
- グッチ(GUCCI)
- コーチ(COACH)
- ザ ノースフェイス(THE NORTH FACE)
- ザラ(ZARA)
- ジャン=ポール・ゴルチェ(JEAN=PAUL GAULTIER)
- ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)
- ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)
- トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)
- バーバリー(BURBERRY)
- バンズ(VANS)
- ヒューゴ ボス(HUGO BOSS)
- プラダ(PRADA)
- フルラ(FURLA)
- マイケル・コース(MICHAEL KORS)
- ミュウミュウ(Miu Miu)
- メゾン マルジェラ(Maison Margiela)
- ラコステ(LACOSTE)
- ラルフローレン(Ralph Lauren)
- ダイアン フォン ファステンバーグ(DIANE von FURSTENBERG)
着なくなった毛皮はどうするべき?
先述した内容から、余計に外へ着て行き辛くなったと感じ、手元の毛皮製品のやり場に困ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そのままクローゼットの中で毛皮を放置してしまうと独特の匂いが強くなったり、部分的に脆く、痛んでいったりしてしまいますし、本物の動物の毛皮は捨てるのも戸惑うかと思いますので、着なくなってしまった毛皮はそれを今求めている方に行き渡るよう買取に出すことをお勧めします。いろいろな色彩や斑紋を表す長い毛を刺し毛と刺し毛の下に生えている短くて柔らかい毛を綿毛で構成されているリアルファーは、化学繊維から作られるフェイクファーに比べ保湿性や保温性に優れているという面から寒い地域に住んでいる方にとっては貴重な衣類とされていますし、より貴重になっているため、保存状態や毛の質によっては高額で売ることも可能です。
そこでまず、毛皮の買取に必要なステップや方法が以下の通りですのでご自身に合った方法を見つけてみてください。
ネットオークション
すぐに売りたいわけでなく、買い手との連絡等が可能な方にお勧め
店頭買取
店頭に持ち込むことが可能な方、又は、すぐに現金に換えたい方にお勧め
出張買取
ご自宅に査定士が訪問することに抵抗がない方、又は、毛皮が大きく運ぶことが困難な方にお勧め
宅配買取
店頭や出張買取の時間帯はお忙しい方、又は、簡単に売りたい方にお勧め
この中の方法のうち、買取業者への依頼をお考えの方は、査定が行われる前に以下のポイントを確認することがより高く売るために重要となりますので、ぜひご参考ください。
毛皮の種類と大きさ
毛皮として活用されている動物の種類は様々で、種類ごとの特徴や質が毛皮の評価に直結し、それぞれの価格が決められます。多くの種類がある中で、特に高級毛皮とされるものは世界三大毛皮とも呼ばれ、買取相場で見ても圧倒的に高値で取引が行われています。さらに、使われている毛皮の面積も買取金額を大きく左右します。例えば、ショールやマフラーよりもロングコートのほうが面積が大きいため、買取金額を高くなる、という仕組みです。
世界三大毛皮以外にも良質で価値の高い毛皮もありますし、ご自身でなんの毛皮が使われているものかわからない場合でもきちんとした査定士に依頼すれば問題ありませんのでご安心ください。今回は世界三大毛皮に絞ってその特徴やコートの場合での買取相場をまとめました。買取相場は業者や詳しい製品の状態によって異なりますので、おおよその目安としてご参考ください。
世界三大毛皮の特徴と買取相場
特徴 | セーブル | チンチラ | リンクス |
---|---|---|---|
別名 | クロテン(黒貂) | – | オオヤマネコ |
刺し毛の特徴 | 毛足が長い 非常に細い 軽い 美しいツヤ柔らか手触り |
毛足が短い | 毛足が長い 非常に柔らかい |
綿毛の特徴 | 非常に細い 軽い 保湿性に優れている |
密度が高い 軽い | 密度が高い |
色の種類 | 黒褐色~ 黄褐色 | 背部が濃い青~淡い青 腹部は青灰色 ベージュ(突然変異) |
– |
特に高価なもの | 濃い褐色 | グラデーションが美しい コントラストがはっきりしている 青みが強い |
コントラストがはっきりしている 白く斑点模様が鮮明な腹部の毛皮 |
その他の特徴 | 耐久性に優れている | デリケートで耐久性に欠ける | ワシントン条約で保護されているため 入手が難しい |
買取相場 (コートの場合) |
160,000~500,000円 | 40,000~300,00円 | 30,000~1,000,000円 |
ブランド
毛皮に関わるブランドは、コートやショール等の毛皮製品を製造し販売するアパレルブランドとそのアパレルブランドに毛皮を卸すために養殖を行う生産者団体の2種類存在し、高級とされるブランドは厳格な品質調査を行っているため、査定の際により価値があると判断されやすい傾向にあります。毛皮を取り扱っているブランドはそれぞれ世界に多くありますが、その中でも特に有名で買取価格が高くなる可能性があるものをご紹介いたします。
世界の主な毛皮ブランド
ブランド名 | 本部の所在地 | 概要 | その他 |
---|---|---|---|
エンバ (EMBA) |
日本 | 小物からコートまで扱う毛皮製品 の幅は広い |
– |
フェンディ (FENDI) |
イタリア | コート、ショール、チャームが人気 | – |
サガミンク (SAGA) |
ノルウェー スウェーデン フィンランド デンマーク |
ミンクの養殖が主 毛皮の質や裁縫技術の高さごとに ランク付けを行っている |
SAGA LUMIROYAL SAGA ROYAL SAGA SUPERIOR の順でランクが高い |
ノースアメリカンファー (NAFA)オークションズ |
トロント (カナダ) |
世界最古の毛皮オークションハウス | 色が濃いミンクの毛皮にはBlack NAFA の称号を付けており、人気が高い |
コペンハーゲンファー (KOPENHAGEN FUR) |
コペンハーゲン (デンマーク) |
ミンク、チンチラ等の養殖を行う 品質を示すラベルを付けている |
KOPENHAGEN IVORY KOPENHAGEN BURGANDY KOPENHAGEN PLATINUM KOPENHAGEN PERPLE の順でランクが高い |
ファー ハーベスター オークション (Fur Harvesters AUCTION) |
オンタリオ州 (カナダ) |
養殖のキツネの他に、野生動物の 毛皮も扱う |
最高級の野生動物の毛皮を扱っている と言われている |
保存状態
買取に出すうえでどのカテゴリの製品においても査定士のチェックが厳しい項目の1つが保存状態です。毛皮の場合、化学繊維が使われている衣料品よりも状態が悪くなりやすく、お手入れが必要な場合も多いです。特におさえておきたいポイントは以下の4点です。それぞれに対するお手入れ方法は「綺麗に保つために!ご自宅でのメンテナンス方法」にて詳しく解説いたします。
綺麗に保つために!ご自宅でのメンテナンス方法
それでは、もし買取に出す前に「保存状態」で紹介した中で気になる部分が製品に見受けられた場合に対処する方法と普段からでも簡単にできるお手入れの方法を紹介いたします。クリーニングに出さなくてもご自宅でできるものをまとめましたので、ご参考ください。
簡単な毛皮のお手入れ方法
注意すべき点 | お手入れ方法 |
---|---|
ホコリ | 乾いた布か柔らかいブラシで軽くたたき落とす |
汚れ | ぬるま湯で濡らしたタオルを使い毛並みに沿って皮部分に触れないようにそっと拭く 乾いたらそっとブラッシング |
匂い | 蒸しタオルで毛の部分だけを拭く 風通しのいい場所で陰干し |
虫食い | 直接毛皮にはつかないよう、防虫剤と一緒に保管する |
毛皮は非常にデリケートな素材のため、ご自宅での洗濯は避けるようにしてください。上記のお手入れをしても尚、匂いや汚れが気になる時はクリーニング業者に持ち込み、パウダークリーニングを依頼することが最善です。しかし、もしもクリーニング業者にもっていかずとも綺麗にしたい場合、毛皮製品がフードやポケットの部分に付いている取り外し可能な部分ファーでしたら以下の方法を実践することも可能です。
小さな毛皮を自宅で洗う方法
- 毛皮専用オイルとおおしゃれ着用洗剤を混ぜておく
- 30℃のぬるま湯に洗剤を溶かし、振るように洗う
- タオルで優しく水分をふき取り、風通しのいい場所で陰干し
- 充分に乾いたら、柔らかいブラシで毛並みをと整える