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ジンが独自開発した驚きのテクノロジーとは?買取価格は今度どうなる?

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2025年8月27日
ジンが独自開発した驚きのテクノロジーとは?買取価格は今度どうなる?
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ライター

ひらばやし

ドイツ生まれの時計ブランド『ジン(SINN)』は、独自で開発したあらゆる特殊技術を駆使し、高い実用性と機能美が魅力の時計を生み出し続けています。
特殊時計のパイオニアとして、他ブランドとは一線を画したコレクションの数々は、時計愛好家の間でも高く評価されています。
今回は、ジンが開発した独自のテクノロジーの解説から、人気モデル、買取市場での評価などもご紹介していきます。

ジン(SINN)はどんなブランド?

ジン(SINN)は1961年に創業した比較的新しい時計ブランドで、ドイツ生まれらしい実用性重視の時計を多く生み出しています。

ジンの正式名はドイツ語で「ジン スペツィアルウーレン」といい、日本語訳では「ジン特殊時計会社」という意味があります。

ドイツ軍パイロットだったヘルムート・ジンが立ち上げたブランドで、創業当初から航空機器にほど近いパイロット用の時計を製作してきました。

ジンの時計のコンセプトは「使うためだけの時計」。独自の特殊技術をいくつも生み出しており、徹底的な実用性へのこだわりが感じられます。

映画『海猿』や『藁の楯』で人気俳優が着用していたことで、日本でも注目が集まったブランドです。

ジン独自のテクノロジー

ジンは独自のテクノロジーを駆使し、特殊時計のパイオニアとしても知られるブランドです。

5,000mの防水性能を実現したハイドロ・システムや、ケース内を除湿するドライカプセル、ケースの耐傷性を上げるテギメント加工などが有名です。

ここでは、ジンが独自開発した特殊技術の中から、主な7つをくわしくご紹介していきます。

特殊技術①【特殊潤滑オイル】

機械式時計のムーブメントには、パーツが円滑に動くように潤滑オイルが使用されています。

一般的に使用されているオイルは、-25℃になると粘性が高くなり、時計の精度が維持できなくなります。

しかし、ジン社が開発した特殊な潤滑オイルは、-66℃まで粘性を維持し、さらに+228℃まで蒸発が起きません

この特殊オイルによって急激な温度変化にも耐え、ドイツ工業規格(DIN)で定められた-45℃から+80℃の温度範囲での刻時精度が保証されました。

灼熱の砂漠であろうと極寒の地であろうと、ジンの時計は安定した精度で時を刻み続けることができるのです。

特殊技術②【エアドライテクノロジー】

機械式時計のムーブメントには、それぞれのパーツが円滑に動くよう、潤滑オイルが使用されているとお伝えしました。

しかし、時計内部の空気や水蒸気によってそのオイルが劣化すると、時計の精度に悪影響を及ぼすおそれがあります。

ジンのエアドライテクノロジーは、「ドライカプセルの搭載」「EDRパッキンの使用」「プロテクトガスの充填」の3つの技術により、ムーブメントをほぼ無水状態にしてこの問題を解決したのです。

・ドライカプセル

このカプセルには特殊な乾燥剤が充填されており、ケース内の水蒸気を吸収して、湿気を除去。

・EDRパッキン

時計ケースの保護にはEDR(超拡散削減)パッキンを採用し、従来の二トリルゴム(NBR)と比べると、水分浸透を最大で25%まで削減。

・プロテクトガス

時計ケース内に希ガスという極めて安定したプロテクトガスを充填させることで、静電気や不安定ガスを含む空気をできる限り排除し、潤滑オイルが引き起こす放電腐食を防止。

特殊技術③【ハイドロ・システム】

高い防水性能を追求するにあたってポイントとなるのが耐圧性能です。

従来のダイバーズウォッチでは、深く潜水すればするほど外気圧と内部圧の差が大きくなり、ケースが破裂してしまいます。

多くのダイバーズウォッチは、ケースを分厚くすることで耐圧性能を上げていますが、ジン社では時計ケースにシリコンオイルを充填することで、内部の気体の収縮率を海水や淡水とほぼ同等にする「ハイドロ・システム」を開発。

これは、外気圧に対して同等の内部圧で押し返す”パスカルの原理”の応用です。

これによってジン社は、分厚いケースなしに5,000mの高い防水性を実現しました。

特殊技術④【マグネチック・フィールド・プロテクション】

携帯電話や電化製品などにより発生する磁気は、機械式時計の精度に悪影響を及ぼします。

防磁性能を持つ時計は昔からありましたが、軟鋼性のインナーケースで磁力から保護していたため、ケースが分厚くなってしまうという難点がありました。

そこでジン社は、軟鉄製素材のリングでムーブメントを囲むことによって磁気に対応。

さらにダイアルと裏蓋にも同じ素材を採用することで、ほぼ完璧に磁気を遮断しています。

特殊技術⑤【テギメント加工】

テギメントとは、時計のケースに窒素を使用した浸炭加工を施すことで、鋼材の表面に炭素分子を拡散・浸透、そして焼入れをして硬化させる技術です。

この特殊な表面加工技術でケースに保護層をつくることで、耐傷性を飛躍的に上げることができ、その硬度はセラミックと同等以上を誇ります。

特殊技術⑥【ディアパル】

ディアパルとは、オーバーホールのインターバルを飛躍的に伸ばす技術のことです。

時計を永く使用していくためには、オーバーホールが非常に重要です。

一般的に3~5年に1度おこなうことがベストとされていますが、ジン社はそのインターバルを約2倍に延ばすことに成功。

ディアパルシステムは、ムーブメントのガンギ車と鉤爪のかみ合わせ箇所に施されている機構で、オイルを使用せずとも部品同士が摩擦を起こさずに作動します。

これにより、オイルの乾燥による部品の摩耗を防ぎ、オーバーホールのインターバルを延ばすことができたのです。

特殊技術⑦【SZムーブメント】

優れた技術を持つジンでは、ムーブメント開発にも力を入れており、「SZムーブメント」と呼ばれる実用性の高いムーブメントが注目を集めています。

このムーブメントは、ETA社の名作「バルジュー7750」などをベースとしており、ジン社の熟練職人らの改良によってあらゆる進化を遂げた新設計ムーブメントです。

ジンの時計は高い機能性と実用性を兼ね備えながらも、価格帯がリーズナブルという魅力がありますが、それはSZムーブメントによる恩恵が大きいです。

汎用ムーブメントをベースにして開発コストを抑えつつも、性能は価格よりも遥かに上をいっています。

ジンの人気モデル

ジンの時計は、現行でも30を超えるシリーズがあり、モデル数は100以上にも上ります。

ここでは、その中から代表的モデルや定番モデルなどを一部ご紹介していきます。

103.B.AUTO

ジンが創立した1960年代から現在に至るまで途切れず続いてきたのが103シリーズです。

中でも『103.B.AUTO』は初期の面影が色濃く残っており、強化アクリル製の風防とアルミ製の回転ベゼルを備えた、コストパフォーマンスの高いパイロットクロノグラフです。

UX.SDR.GSG9

出撃用計測機器EZM2の進化系であるUXシリーズは、5,000mという高い防水性能を備えたダイバーズウォッチです。

最悪の状況下でも高い視認性を維持し、外れたり傾くことのない回転ベゼルを搭載。

『UX.SDR.GSG9』は、通常とは逆の位置にリューズがついているのが特徴です。

リューズが引っかからないよう安全性に配慮されており、危険と隣り合わせの場面でも事故につながる要素を排除しています。

556.M

コックピットクロック製作で培った技術を集結して作り上げられた『556.M』は、必要最低限の機能のみを搭載した、ジンの超定番モデルの一つです。

無駄を省いたシンプルなデザインは時代に左右されることなく、あらゆる場面で活躍してくれます。

ジンは買取で高く売れる?

今お持ちのジンの時計を売却したいけれど、高く売れるのか不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ジンは、「特殊時計のパイオニア」として世界中で高い評価を獲得していますが、日本国内での知名度は今ひとつであるため、高い需要があるとは言い切れません。

しかし、『ジン独自のテクノロジー』の項目でお伝えしたように、ジンはさまざま独自技術を開発し、特殊機能や性能を実装した時計を展開しています。

そのことから、時計の技術にこだわりのあるマニアックなファンを中心に人気が高まり、腕時計界隈では知名度が上がっているため、今後に期待できるブランドです。

買取相場は、ベーシックなモデルは新品価格の半額程度クロノグラフモデルは7~8割ほどになるようです。

もちろん、時計の状態やモデルによっては買取価格は変動しますので、気になる方は一度無料査定に出してみることをおすすめします。

まとめ

  • 5,000mの防水性能「ハイドロ・システム」や、ケースの耐傷性を高める「テギメント加工」など、独自開発したテクノロジーを駆使した時計を製作し、特殊時計のパイオニアとも称されている。
  • 買取市場での需要はそれほど高くはないが、日本でも時計愛好家を中心に知名度が上がりつつあるため、今後買取価格の上昇も期待できる。

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