買取に出す前に知っておきたい、パテックフィリップ(PATEK PHILIPPE)のこと
スイスの時計ブランド「パテックフィリップ」は世界三大高級時計メーカーの一つであり、「その中でも群を抜いている」「世界一の高級時計メーカー」と呼ぶ声もあるほどのブランドです。本記事では、知っておくべきパテックフィリップの情報を一挙にまとめました。時計に詳しくない方でも今回紹介する知識を知るとパテックフィリップの見方が変わるかもしれません。最後に、専門用語の解説をまとめた「関連語句辞典」を掲載しておりますので、ぜひご参照ください。
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パテックフィリップってどんなブランド?
パテックフィリップについてを以下の3つに分けて解説いたします。
歴史
パテックフィリップは創業した1839年以来の長い歴史と懐中時計から始まった時計の製作に力を注ぎ続け、現在に至ります。180年以上にも渡るパテックフィリップの歴史の中で起こった大きな出来事を見てみましょう。
パテックフィリップの歴史
西暦 | 主な出来事 |
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1839年 |
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1845年 |
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1849年 | ティファニー(Tiffany&㏇)に懐中時計供給を開始 |
1851年 |
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1868年 | ハンガリーの伯爵夫人のためにスイス最初の腕時計を製作 |
1878年 | ティファニーが自社の時計ムーブメント製造工場をパテックフィリップに売却 |
1925年 | 最初の永久カレンダー搭載腕時計を製作 |
1932年 | 世界恐慌の影響で経営が悪化した結果、文字盤製造者のスターン兄弟が会社を買収 |
1941年 | 永久カレンダー搭載腕時計のシリーズ生産を開始 |
1962年 | 世界最高計時精度記録を樹立 |
1989年 | 33の複雑機構を持つ携帯時計の完成(世界で最も複雑) |
1996年 | 複雑機構である年次カレンダーを開発、特許取得 |
2001年 |
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2009年 | パテックフィリップシールの導入 |
コンセプト
パテックフィリップは使命として「独立」「伝統」「革新」「品質と精緻な仕上がり」「希少性」「付加価値」「美」「サービス」「思い入れ」「継承」をまとめて10の価値と呼び、掲げ守り続けています。
10の価値
独立 | 家族経営 完全に独立したマニュファクチュールである |
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伝統 | 熟練の時計塩職人による製作 これまでの経験、技術、ノウハウを受け継いでいく |
革新 | 絶え間ない技術革新 創業以来、取得した特許は100以上 |
品質と精緻な仕上がり | 時計を構成するすべての要の品質を保証 |
希少性 | 各モデルの生産数は十数個か数百個に止めている |
付加価値 | ブランド力 中古市場でも最高額を記録 |
美 | トレンドに左右されない確率されたデザイン性 |
サービス | ユーザーが常に受けられるサービスを用意 |
思い入れ | 時を刻む品としてユーザーに生涯寄り添う |
継承 | 後世に受け継ぐことができるほどの価値 |
代表コレクション
これまで数多くのモデルの携帯時計を世に送り出し続けてきたパテックフィリップは「10の価値」でも紹介したように、自社の製品の希少性を守るために一つのモデルに対しての生産数はごくわずかです。その代わり、各コレクションは発表から現在まで毎年新たなモデルが発表されており、全てにおいて人気が高いです。今回はその中でも特に人気で、代表的なコレクションを4つに絞り、それぞれの特徴や2021年現在の現行モデル数も併せて紹介いたします。
パテックフィリップの代表コレクション
コレクション名 | 発表年 | 初代モデル名 | 特徴 | 参考販売価格 (新品) |
現行モデル数 |
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カラトラバ Calatrava |
1932年 | Ref.96 | 複雑機構を用いないクラシックなライン | 3,898,000円前後 | 18 |
ノーチラス Nautilus |
1976年 | Ref.3700/1A |
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16,280,000円前後 | 27 |
アクアノート Aquanaut |
1997年 | 5060 |
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7,980,000円前後 | 10 |
トゥエンティ フォー Twenty-4 |
1999年 | 4910/10A |
|
1,250,000円前後 | 12 |
価格が高い理由
「パテックフィリップの代表コレクション」で紹介した新品での参考価格をご覧いただけるとわかるようにパテックフィリップの時計は全てのモデルを通して大変高額になっています。もちろん、価格は素材や生産数に左右されるため、記載した価格よりも高いものも安いものも存在していますが、それでもかなり高い価格設定です。元々の販売価格に加え、発売後の人気やセレブや人気アーティスト等が愛用したことで需要が高まることもあるため、中古品やアンティークであっても本物のパテックフィリップの時計となればその買取価格も高い傾向にあります。この価格で取引されている理由として世界に通じるブランド力以外に、しっかりと裏付けできる要素を7つ紹介いたします。
世界三大高級時計メーカーの一つ
パテックフィリップはヴァシュロン・コンスタンタン、オーデマ・ピゲとともに世界三大高級時計メーカーに数えられています。世界三大高級時計メーカーとは高度な技術力と信頼を誇る時計ブランドを指す呼び方で、これら3ブランドは著名人以外にも王侯貴族にも愛されてきました。
完全に独立したマニュファクチュール
多くの時計ブランドが複合企業に加わっているなかで、パテックフィリップは創業から独立した家族経営を貫き、現在では時計大国とも呼ばれるスイスのジュネーブで最古の独立したマニュファクチュールとなりました。独立した家族経営であり続けることでこだわりと独自性を持ち、開発や製作を行い、それが現在まで続くことが信頼性を高めているという声もあります。
アフターサービス
パテックフィリップは販売するすべての商品に対して永久保証を付けており、これによってユーザーはパテックフィリップから認められた専門のスタッフによるオーバーホールや電池交換等のメンテナンスや修理、パーツの交換といったサービスをいつでも受けられるシステムとなっています。例え、何年前のものか分からないものであってもパテックフィリップが販売した時計であれば何年経ってもアフターサービスが受けられることが、代々受け継ぐことのできる腕時計として人気が高い要因の一つでもあるといえるでしょう。
希少価値
パテックフィリップの経営戦略ともいえる「10の価値」でも挙げた希少性の維持は徹底されており、200以上にもなる現行モデルはそれぞれ十数個から数百個のみの生産数に止めています。これにより希少性が高まり、すべてのモデルが中古市場においても高額で取引されている状況を作り上げています。
手仕上げ
長年に渡って培われた時計製作のノウハウや技術力を駆使し、パテックフィリップで販売する時計はすべて、小さなパーツの一つ一つまで熟練した時計師と職人によって手仕上げが行われます。先述したアフターサービスが可能なのはこのノウハウと技術力の高さをもつ職人たちの存在も重要となっています。
パテックフィリップシール
パテックフィリップシールは時計業界で最も厳格な認定で、認定基準は機械式時計を構成する部品全てに適用されています。この認定はパテックフィリップ独自のものではありますが、公正さを保証するために認定を正しく行うための機関を設置しています。チェックされる項目の具体例として挙げられるのは、計時精度や造形美等があります。パテックフィリップはこの認定をクリアした商品のみ販売を行うため、パテックフィリップシールがあれば正規の商品としてアフターサービスが受けられる仕組みとなっています。
複雑機構のうち数種類以上を搭載したモデルの存在
複雑機構を一つ搭載する腕時計はコンプリケーションウォッチと呼び、最高の技術が詰め込まれた腕時計と言えるなかで、パテックフィリップでは複数の複雑機構が搭載されたグランドコンプリケーションウォッチを発表しています。複雑機構を搭載するためには大変高度な技術が必要となるため、一つ搭載数が増えれば販売価格は何百万と高騰するので、複数の複雑機構を搭載したパテックフィリップの腕時計は当然高額となります。
関連語句辞典
語句 | 意味 |
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オーバーホール | 機械式時計におけるメンテナンスの総称 |
スケルトンバック | 時計内部を鑑賞できるように、裏蓋をガラスに変えたもの |
ストラップ | 腕時計を腕に固定するベルト部分のこと |
パテックフィリップ・ミュージアム | パテックフィリップのこれまでのコレクションを所蔵する時計博物館 |
パテックフィリップシール |
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ベゼル | 文字盤等を覆うガラス部分の周囲に着けられるリング型の部品のこと |
マニュファクチュール | 自社製造とも呼ばれるブランドが独自の機械を使い、製作のすべてを自社一貫製造すること |
永久カレンダー | 一度調整すれば半永久的に正しいカレンダーを表示する機能を指す複雑機構の一つ |
機械式時計 | ゼンマイを動力源とする時計の総称 |
計時精度 | 正しく時間を計測する度合いを指す |
世界最高計時精度記録 | 様々な時計ブランドが計時精度を競うスイスのコンクールにおける最高記録 |
年次カレンダー |
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複雑機構 |
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リューズ巻き上げ・時刻合わせ式 | 時計本体に付けられた小さなつまみを回して時刻を合わせるタイプの時計のこと |